女性は、それなりに強い。母を思って呑む。
3月1日 
 2月26日、山の帰りに、本屋に立ち寄る。村上春樹の新刊「騎士団長殺し」が正面に目立つように置いてある。今日は買わない。
 その後ろに、佐藤愛子の最新作「晩鐘」がある。長編だ。いつかは読もうと思う。
 
 その横に同じく佐藤愛子の「それでもこの世は悪くなかった」という新書本がある。93才、初の語りおろし人世論とある。読みやすそうなので買う。
 又吉直樹の本も置いてある。二作目が新潮社から出るそうだが、苦闘しているらしい。芥川賞作家はその後が続かないのが多い。72才の私は、亡くなった作家は別として、年上の作家に惹かれる。

IMG_0239.jpg
 
 3月1日のテレビ「徹子の部屋」に佐藤愛子さんが出演していた。写真にあるように93才とは思えないほど若々しくきれいな御婦人である。
 年をとっても頭と手を使う作家活動を続けているからだろうか。アンチエイジングだ。老人たちよ、ここに認知症にならない秘訣がある!
 
 面白い、笑ってしまう、何とも不思議な魅力的な人である。結婚運が悪く、ずいぶん苦労している。その苦労を明るく笑い飛ばしている。
 
 「人生は思うに任せないことの連続ですよね。だけど、そこが面白いんです。何もない人生だったら、私にはつまらなかったと思います。」「私は怒ることで自分を励まして、先へ先へと生きて来たんです。世間の批評を何とも思わない、そういう暢気な性格も、強く生きるには必要なんですよ。」と言う。
 
 アランの言葉を引いて、「何らかの不安、何らかの情念、何らかの苦しみがなくては、幸福というものは生まれてこないのだ」という。それは、「苦労から逃げた人にはわからない真理だと思います。苦しいことだらけの人生を生きた私は、幸福な人生だったと思うんです。」
 
 は、作家佐藤紅録。に詩人サトウハチローがいる。ハチロウの詩は好きである。兄はどうしようもない不良であったというが。「小さい秋見つけた」「リンゴの歌」「パイプのけむり」「長崎の鐘」などがあり、どこか懐かしい切ない温かみを感じる。
 
 愛子さんは不良少年で父や母を苦しめた男の、こういう短い詩ですといって、ハチロウの詩「おかあさんはわたしを生んだのを引用している。
 
      おかあさんはわたしを生んだの
      それから
      わたしをそだてたの
      それから 
      わたしをたのしみにしてたの 
      それから
      わたしのために泣いたの
      それから
      それからあとはいえないの


 「あ、これはハチロウの本当の心が出ている。」と、後になってわかったという。
 ここにも、二人のDNAを感じる。
 
 作家としての才能があったからこそ自立ができたのか、それとも、ダメ夫での苦労が自立させたのか、にはない前向きな自立した女性の姿がある。
 
 寂聴さんも、しかり、なんと明るいのだろう。田部井さんもがんばった。男の作家の晩年の作品は、どうして寂しい、淋しいものが多いのだろう。
 特殊な人たちなのかもしれない。
 
 私のは、92才。寝たきりである。胃瘻でやっと、生きている。軽度の認知症。そうなったのは、それなりに、苦労があったが、子供たちが独立して、真面目な夫の遺族年金で充分暮らせる状態が、安心をもたらした結果だ。というのも無理がある。その年金は医療費で全部消えていくが、生きているだけでありがたい。
 愛子さんは特殊なのだ。

 私のは、旅先で客死している。老人会の旅行で、朝酒、朝風呂の小原庄助さん状態となって心筋梗塞で。今の私の72才という年齢であった。
 
 母方の祖父は、昼間から囲炉裏端で酒を呑み、いつも赤ら顔で怖かった。小学生の時、私は小川で捕まえた川ガニを二匹飼っていた。それを取り上げて串に刺して囲炉裏で焼き、醤油と唐辛子をかけて酒のつまみにしてしまった。60代で亡くなっている。

 私には、酒呑のDNAがあるのだろか。いつまで生きていられるのだろうか。

 不安はあるが、酒を呑み、青空、山々、夕日、夜空の月・星を眺めると、憂さは忘れる。

 晩酌・・・厚揚げ焼き、きんぴら、カブ・玉ねぎのサラダ、アサリの味噌汁 *今日はを思って呑む。 
 
 *塩ぬけのため、朝はバナナ、ジャガイモ・ワカメの味噌汁である。今日も、R・S・Hであった。

スポンサーサイト
Copyright ©  酒呑童子(老人)の晩酌日記. all rights reserved.
Design by Pixel映画山脈