登山家、田部井淳子さんの「それでもわたしは山に登る」を読む。
  登山家、田部井淳子さんの「それでもわたしは山に登る」を読む。

2月5日
 
 断捨離で、古本に出すものと残すものとゴミにするものを仕分けていると、田部井淳子さんの「それでもわたしは山に登る」という本を見つける。妻が買ったと言う。最近、田部井さんは癌で亡くなったのだ。77才であった。
 読んでみる気になる。読む。
 
 35才の時、女性として世界で初めてエベレストに登頂した。登山歴はすごい。癌の苦しみを忍て登山、イベント・講演・ボランティア活動、テレビ出演などをしていたのだ。
 
 余命三ヶ月と言われた。抗がん剤の副作用に耐えていた。「70才を過ぎていたので現状を受け入れ、弱音をはかず、楽しいことをいっぱいやって乗り切ろう。家にこもって身辺整理する時間がもったいない」といって、その後の山行・活躍・執念はすごい。 
 
 福島県三春町の出身である。日本三大の桜の一つ「滝桜」がある。私などは「三春駒」という地酒を思い出してしまう。川越の自宅にはその子孫樹がある。2012年4月千鳥ヶ淵の満開のを見て、「あと何回見られるだろうか」という。2016年10月20日に亡くなる。5年は生きたことになる。
 
 西行の辞世の句
   願わくは 花のしたにて 春死なむ その如月の 望月のころ  (山家集)
という歌を思い出す。

 *如月(きさらぎ)は旧暦では2月だが、今の3月にあたる。「花」は桜をさす。記録によると西行は2月16日に亡くなっている。今の3月30日頃になる。満開の頃である。73才であった。
 
 田部井さんは、お姉さんの家の床の間のかけ軸にあることば、六然訓を紹介している。
  
   自処超然 
   自分自身は何事にも執着することなく
   処人藹然(あいぜん)
   人に対しては好意に富み 
   有事斬然(さんぜん)
   起こった事柄にはテキパキと処理し
   無事澄然(ちょうぜん)
   平安無事の時は心を澄ませ
   得意淡然
   得意の時は驕らず、淡々とし
   失意泰然
   失意の時はゆったり堂々としておれ

  このことばをいただく。こうありたいものだ。

 最後に、「老人ホームに入ることなども考えていない。力尽きるまで自分のペースで楽しく突き進む。これがわたしのやり方だ。生きていることはやっぱり楽しい。歩くことが生きることだ。目の前にある今を精一杯過ごすことが、わたしの歴史になってゆくのだと思う。」とある。

 田部井さんは、本当に、そう生きたのです。合掌!
 「三春駒」ではないが、残りの「獺祭」を呑む。献杯!

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 *私は高校教員の時、山岳部の顧問をしていた。春休み4月初旬、雪がまだ多い谷川岳に山岳部員6人を連れて登ったことがある。雪山は禁止されていたが闇で行った。
 
 天神平の上の尾根筋の斜面に雪洞を掘り一晩過ごした。彼らは雪洞内の生活は初めてで喜々としていた。
 
 天神尾根をアイゼンを付けて雪の斜面を登って頂上トマノ耳に登頂した。
 
 その時に長久保浩司君がいた。彼は東京農大に進み、山岳部に入りOBとなって2003年にエベレスト・ローツェ登頂を果たしている。
 他にK2などヒマラヤ8000メートル峰をいくつか登っている。一流の登山家になった。

 その後、縁あって22年ぶりに会った時に、「自分が登山家になったのは高校時代の谷川岳の雪山の経験がきっかけになった」と言う。
 今は、私の好きな酒「八海山」の新潟の酒造会社に勤めている。

 彼の一年後輩に甲斐毅彦がいる。立教大学の山岳部でヒマラヤの高峰に登っている。今は、スポーツ報知の記者として活躍している。
 
 22年ぶりに会った時のことを、「甲斐毅彦記者の多事放論」というブログ #2009年3月10日の記事恩師と22年ぶりに再会」に書いている。
 新聞で彼の記事を読むのが楽しみである。 * #印はリンクしています。

 「出藍の誉れ」という故事成語がある。二人はまさしくそういう生徒である。
 私のブログ「センター試験満点作戦」から引用してみよう。

出藍之誉(しゅつらんのほまれ)
  「青出於藍而青於藍。」(青はあいよりでてよりも青し)→「藍草から採った青色がもとの藍よりも青い」・・・弟子が師よりも偉くなって名をあげること。   
 
 *原文: 「青取之於藍而青於藍、氷水為之而寒於水。」<荀子>(青はこれを藍より取りて藍よりも青く、氷は水これをつくりて水よりも寒し。)→「青色の染料は藍草から採取するが、その染めた色は藍よりも青くなり、氷は水からできるが、その水よりも冷たくなる。」・・・人も先天的な素質よりも後天的な努力によってすぐれたものになる。

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 私の弟は、大学時代山岳部だった。最近、検査で前立腺癌が見つかった。
 まだ、初期段階なので心配はないが、明日、見舞いに行こうと思う。

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